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アフターマーケット 2000 年 10 月号掲載



 クルマの制動装置は、 主ブレーキと、 駐車時に使用するパーキングブレーキがある。 さらに、 空車時と積載時で重量配分が大きく変動する大型車の場合は、 さらに第 4 のブレーキ ( 注 ) として排気ブレーキやリターダ、 圧縮開放式ブレーキなどの補助ブレーキが装備されている。
 リターダとはトランスミッション後方、 またはプロペラシャフトの中間に取り付ける補助ブレーキである。 また、 圧縮開放式ブレーキはエンジンの圧縮膨張工程の抵抗を利用して補助ブレーキとして活用するシステムだ。
 なお、 リターダは抑制するという意味であり、 広義では排気ブレーキや圧縮開放式ブレーキなどもリターダに含まれるため、 日野自動車では圧縮開放式ブレーキをエンジンリターダーと呼んでいる。

注 )
トレーラーなど、 重量物を運搬するクルマに装備されている駐車時の補助制動装置 ( スプリングブレーキまたはマキシブレーキなどと呼ばれる ) が第 3 ブレーキと呼ばれることがあるため、 ここではリターダを第 4 のブレーキとする。






 リターダがその効力を最も発揮するのが、 下り勾配が続く高速道路である。 特に積載時は下り勾配では速度が出過ぎてしまい、 フットブレーキを踏む頻度が増加する。 また、 加減速を繰り返すことで燃費も悪化する。 しかし、 リターダを使えばブレーキを踏む頻度を大幅に減らすことができる。 リターダと排気ブレーキや圧縮開放式ブレーキを組み合わせればその制動力はクルマをほぼ停車させられるほど高くなり、 完全に止まるとき以外にはブレーキが必要なくなる。
 このため、 ライニングの寿命が最低でも 2 倍、 4 〜 5 倍と増加し、 使い方次第では 100 万 km ・ 無交換 ( 流体式 ) も可能である。 燃費に関しても大きな影響はない。 無用な加減速を抑制して速度を一定に保つことができるため、 効果的に活用すればむしろ改善する可能性もある。 「 リターダを付けると燃費が悪くなる 」 という意見も多いが、 これはリターダのスイッチの切り忘れ、 またはスイッチを常時入れたままにしているため、 シフトチェンジなどでアクセルを放した際にもリターダが作動してしまい、 燃費がかえって悪くなっているというケースが大半である。



流体式の強力な制動力をセミトラクタ搭載に展開中

( 株 ) ニッポンリターダシステム
本社 = 大阪府寝屋川市木田元宮 1-1-33  TEL 072-820-0911
設立 = 平成元年 4 月 1 日
資本金 = 5000 万円
社長 = 澤田直章

( 写真 : R115H )

ヨーロッパで主流になっている R115H シリーズを右ハンドル用に開発し、 三菱ふそうスーパーグレートに搭載している。 この R115HR リターダは、 パワーラインからギアで増速させている。 これによりリターダの回転速度は 2 倍にでき、 制動力は約半分で従来と同じ制動力が得られる。 制動力を生み出すローター、 ステーターの作動室も半分の大きさになり、 リターダは約 30% の小型軽量化を実現している。 その最大制動トルクは 3200Nm と強力で水冷式の強みを十二分に発揮している。 また、 シャーシ内の片側に寄せることにより、 PTO が最大限に活用されるように設計されている。
同社は、 従来の R120 リターダ ( 最大トルク 2000Nm ) とともに、 日野、 三菱のトラック ・ バス ・ セミトラクタ等の商用車にオプション設定され、 建機にはタダノ、 加藤製作所、 コベルコ建機のラフテレーンクレーンにも標準装着されるなど、 重量車両に幅広く利用されてる。
「 強いリターダで安全と快適を ! 」 をキャッチフレーズに、 強みの制動力はそのままに、 更なる軽量化とデジタルコントロール化の切り替えにも取り組んでおり、 第回東京モーターショーには新開発商品の参考出品も予定されており、 期待は大きい。



軽量化を図った B タイプが主流

住友金属工業 ( 株 )
大阪本社 = 大阪市中央区北浜 4-5-35  TEL 06-6220-5111
東京本社 = 東京都千代田区大手町1-1-3  TEL 03-3282-6111
創業 = 明治 30 年 4 月
資本金 = 2379 億円
社長 = 下妻博

( 写真 : B シリーズ )

同社のリターダはいすゞ自動車と共同開発した永久磁石式。 その特徴は (1) 超小型 ・ 軽量 (2) シンプルな構造で装着 ・ 点検整備が容易 (3) 消費電力がゼロで、 バッテリー、 ジェネレーターの容量アップが不要 ― などが上げられる。 97 年には作動方式を変更し、 制動力を向上させ、 重量を大幅にダウンした小型 ・ 軽量の B タイプを投入。 現在は B タイプが主流となっている。
いすゞの GVW トン車や日野のスーパードルフィンに一部標準装備されるなど広く普及しており、 現在は三菱自動車にも採用されている。 91 年 1 月の発売以来 ( 中型車用は 92 年 4 月 )、 5 万台弱を発売している。




トルクの大きさとレスポンスの速さが特長の 「 AKR100 」

曙ブレーキ工業 ( 株 )
本社 = 東京都中央区日本橋小網町 19-5  TEL 03-3668-5171
設立 = 昭和 11 年 1 月
資本金 = 90 億 3700 万円
社長 = 信元久隆

( 写真 : AKR100 )

同社は流体式リターダ 「 AKR100 」 を開発した。 この特長は、 100kgf・m という大きなトルクに比べて、 搭載重量が 90kg ( 本体 47kg ) と軽量である点にある。 これはアルミ素材を採用することにより可能とした。
AKR100 は流体式の課題であるレスポンスにタイムラグが生じるという点に関しては、 リターダ内部に湿式多板クラッチを採用することで 0.15 秒という速さを実現した。 さらに、 トルクの強弱 2 段切り替えを採用しているため、 オートクルーズと連動した補助ブレーキ統合制御が可能であり、 下り坂などでセットした車速を維持することも可能となっている。
 さらに、 同社では小型車向けの流体式リターダも開発している。
96 年にフルモデルチェンジした三菱自動車 ・ スーパーグレートにオプション採用されている。



小型トラックへの採用拡大
エディターダ ( 電磁式リターダ )


東京部品工業 ( 株 )
本社 = 東京都町田市南成瀬 4-21-1  TEL 042-739-1471
設立 = 昭和 24 年 8 月
資本金 = 43 億 6730 万円
社長 = 西内靖

( 写真 : MEC20 )

同社は、 電子制御式を採用した電磁式リターダ ( 商品名 = エディターダ ) を開発、 市場に投入している。 エディターダは独自のエディ処理により、 制動トルクを従来の 1.5 倍に強化した。
 電源の ON/OFF 操作だけでシステムが作動するため応答性がよく、 また機械的可動部分が少ないシンプルな構造のため信頼性が高い。 トランスミッション後部およびプロペラシャフトの中間位置に取り付けプロペラシャフトの回転を直接制御するため安全性も高い。 大幅な部品の変更なしに装着が可能なため、 低価格を実現した。
ミッション直付けタイプの E 型、 プロペラシャフト中間取り付けタイプの M 型、 トレーラーに対応したデフアクスル直付けタイプの D 型をラインナップしている。
日産ディーゼルの大 ・ 中型車、 三菱自工と日野自工の中型車にオプション設定。 今年からいすゞエルフの CNG、 LPG 車に制動力 15kgf・m のリターダが標準設定されている。 また、 発電機付きのリターダの開発にを完了している。



エキサイタ付リターダを投入
日野にオプション設定


澤藤電機 ( 株 )
本社 = 東京都練馬区豊玉北 6-15-14  TEL 03-5999-3355
創立 = 大正 8 年 5 月
資本金 = 10 億 8050 万円
社長 = 有馬光彦

( 写真 : エキサイタ付リターダ )

同社はオルタネータ機能を内蔵したエキサイタ付リターダを開発した。 このリターダは、 本体の中に発電機能を持っているため、 取り付け時にオルタネータの出力アップやバッテリーの増強などが不要である。
軽量 ・ 低コストで、 ABS とのマッチングも良い。 後付けが可能なためトラックだけでなくトレーラへも容易に搭載できる。 制動力は 35 〜 100kgf・m までの 4 タイプで、 中型車から大型車までを網羅している。
年春には日野自動車の 4 トントラックにオプション設定された。



リターダ性能比較

NRS R115H 流体式  NRS R120 流体式  A社 多板流体式  T社 電磁式  S社 永久磁石式
流体式は水冷式のため大きな制動力を保つ事が出来る





 リターダは、 制動力を発生するシステムの違いにより永久磁石式、 電磁式、 流体式がある。
 永久磁石式は住友金属工業がいすゞ自動車と共同で開発したもので、 永久磁石を利用して制動力を得る。 その原理は一般家庭に設置されている電圧計と同じで、 磁石の磁界内で電導体が動くと導体内に生じる過電流が磁石の磁界と作用して強い制動トルクを生み出す。
 同方式は軽量コンパクトで、 装着時にバッテリーやジェネレーターの容量アップが不要などのメリットがある。 97 年には本体の幅を半分にした B シリーズも投入されている。
 電磁式は永久磁石ではなく、 バッテリーの電力でプロペラシャフトの回転力を制御する方式である。
 東京部品工業が 「 エディターダ 」 の名前で発売されている。 同社は大型だけでなく、 小型クラスへの展開を進めている。 さらに、 今年からは構造上排気ブレーキの装着が難しい小型 CNG ・ LPG 車に、 排気ブレーキに変わる補助ブレーキとして標準装着されている。 また、 澤藤電機は同じ電磁式ながら、 発電機能を持たせた 「 エキサイタ付リターダ 」 を開発している。 エキサイタ付リターダは本体内に発電機能を持たせることにより、 オルタネーターやバッテリーの容量アップが不要となる。
 一方、 流体式は向かい合った 2 枚の羽根車の間にオイルを流入して制御する方式である。
 我が国ではニッポンリターダシステムと曙ブレーキ工業が製品化している。 流体式は大容量化が可能であり、 制動力が高い。 ニッポンリターダシステムのリターダはエンジンの冷却システムを利用することで、 大容量化と軽量化を両立させている。
 また、 曙ブレーキ工業の流体式リターダ 「 AKR100 」 は、 100kgf・m という大きなトルクを生み出す割には軽量で、 トルクが強弱 2 段切替のため下り坂などで車速を一定に保ちやすい。

電磁式リターダ

ニッポンリターダシステムのR115HRは、パワーラインからギアで増速させているため回転速度を2倍にでき、約半分の制動力でで従来と同じ制動力が得られる





 リターダは、 高速道路を使って国境を越えた長距離輸送を行う欧州では、 装着率が 40% 程度と高くなっている。 我が国でも名神高速道路の開通により高速時代の幕開けを迎えた 60 年代に、 すでに流体式リターダを装着した高速バスが開発されている。 しかし、 その後も思ったほど販売は伸びず、 販売台数に占めるリターダ装着車の割合は 10% に満たない。
 ただし、 25 屯車の登場によりライン装着をするクルマが増えたことで、 10 屯車以上のカーゴタイプのトラックに限定すれば、 装着率は 30% 程度となる。
 今年 7 月からはブレーキに関する規制が強化され、 大型車ではパーキングブレーキが従来のセンターブレーキ式から乗用車と同様のホイールパーキングロック式に変更されている。
 この結果、 従来リターダと同じ位置にあったセンターブレーキがなくなったため、 装着の自由度が一層高まっている。 また、 カーメーカーのライン装着やオプション設定も増加しているため、 今後我が国でも装着率が増加する可能性が高い。


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