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独フォイト社の流体式リターダを国内販売しているニッポンリターダシステムは、
小型軽量化を実現した開発モデル「 AR120 」を参考出品、
自動車メーカーの技術者など業界関係者の注目を集めた。 制動トルクの大きさで定評がある流体式リターダは、
電磁式リターダに比べ装置寸法が大きく、 重いこともネックだったが、
電磁式に引けを取らないレベルまで大幅なダウンサイジングを達成したことによって、
今後国内市場でも NRS 流体式リターダの普及に弾みがつきそうだ。

― 小型軽量化ニーズに対応して開発 ―
ニッポンリターダシステム ( NRS / エクセディとフォイトの合弁会社 ) は、 欧州市場で評価が高いフォイト流体式リターダを NRS リターダとして販売しているが、 大きな制動トルクを発生させる “ 流体式リターダの強み ” だけで事業を展開してきたわけではない。 日本市場のニーズをメーカーであるフォイト側にフィードバック、 日本市場向けにモディファイした製品供給にも力を入れており、 それが着実な伸びにつながっている。
その典型的な製品がプロペラシャフトからギアアップするオフライン対応型の R115HR ( 最大制動トルク 2800Nm ) である。
フォイトのオリジナル製品 R115H は、 左ハンドル用にプロペラシャフトの左側に装着する仕様として開発されたものだが、 それを右ハンドルの日本車へ装着できるように右側装着用にモディファイしたのが R115HR 。 つまり、 型式名の最後に付く R が右ハンドル車対応を意味している。 ちなみに、 この R115HR は三菱ふそうと日野自動車の重トラクタにオプション設定されている。
こうしたマーケットインに対する積極的な姿勢をさらに発展させて結実したのが、 東京モーターショー 2000 に参考出品した 「 AR120 」 である。
これは主力販売機種 R120 をベースに、 設計変更を含めて改良したものだが、 NRS の出資会社でクラッチや AT など自動車部品メーカー大手のエクセディが中心になって開発に取り組んだという点でも、 大きな話題を呼んだ流体式リターダのアドバンスド ・ モデルである。

大幅な小型軽量化を達成した 「 AR120 」 ( 参考出品 : 写真左 )。
主力機種 「 R120 」 ( 写真右 ) のカットモデルと比較するとその違いがよく分かる
― 最大制動トルク 2000Nm 維持して軽量化 ―
開発のベースとなった R120 は、 トランスミッション直付け型で最大制動トルク 2000Nm を発揮、 大型トラックやトラクタ、 建機など適した幅広い用途に対応できる流体式リターダとして定評があるが、 ネックもある。 装置本体重量が約 60kg と電磁式リターダと比べて重い。 サイズも大きい。
制動トルクは抜群だが、 重くて大きいことが単車装着を阻害していることは否めず、 流体式リターダはトラクタや建機など制動トルク重視の分野を中心に普及してきた要因になっている。 小型軽量化を実現すれば、 需要ボリュームの大きい大型トラックの装着需要を喚起できる ―― こうした視点に立って開発に踏み切ったのが今回出品したアドバンス ・ モデルの AR120 である。
R120 のもつ最大制動トルク 2000Nm という制動性能をそのままにベースモデルに比べ約 30% の小型軽量化を実現、 最大の課題だった重量は約 40kg と電磁式リターダと引けを取らないレベルを達成している。 高い制動トルクを維持しながら大幅な重量軽減を達成したことで大型単車の装着需要を喚起できるものと期待される。
〈 冷却水配管を廃止して装着性が大幅向上 〉
小型軽量化は設計変更を含め機能を見直すとともに、 部品の軽量化および点数の削減によって達成したものだが、 コンパクト化を実現したことで PTO の取り出しが可能となり、 トランスミッション軸延長の短縮化でプトペラ軸の短いバスやトラクタへの装着性がより高まっている。
流体式リターダはエンジンの冷却水を使って制動時の発熱を冷却、 これが制動持続と危険物運搬車両へも搭載できる信頼性確保につながっている半面、 冷却水配管による重量増や装着性を阻害している。 AR120 はオイルクーラを別体化することによって冷却水配管を廃止、 この点でも軽量化および装着性の大幅向上が図られている。
― 新短期排ガス規制対応で売り込み図る ―
大型トラックは、 排ガス規制強化や低燃費化の取り組みとしてインタークーラターボ化や終減速比の低化させる傾向が強まっているが、 これはエンジン機構を生かしたブレーキ力を低下させることにつながるため、 今後 “ 第 3 のブレーキ ” としてリターダの必要性が高まると予想される。
NRS では 「 AR120 はまだ開発段階。 市場投入の目標は新短期排ガス規制でそれに向けてフォイトといっしょになって熟成していきたい 」 としており、 自動車メーカー各社の新短期対応の取り組みに合わせて売り込みを図っていく方針だ。
※ 流体式リターダ = プロペラ軸に連結されて回転するロータとハウジングに固定されているステータのふたつの羽根車が向い合った構造となっており、 制動トルクはオイルがふたつの羽根車間を循環すること発生する。具体的にはロータ内のオイルが遠心力で加速されてステータに入り、そこで減速されてロータに戻るという循環を繰り返すことでエネルギーを消費、ロータと連結しているプロペラ軸を制動するという仕組みである。
構造がシンプルで電力消費は電子制御系だけでバッテリの容量アップも不要。また、リターダの電子制御にABS信号を入力すれば制動力をトータルにコントロールすることも可能である。
NRSリターダのメリットは連続使用しても大きな制動力を安定して維持、長い下り坂でもフットブレーキをほとんど使わず降坂走行できる。その結果、ブレーキライニングをクールに保てるため、万一のときに急ブレーキの利きを高める。ペダルを踏まず、スイッチングで操作(制動トルクは4段階)できるため、運転疲労の軽減につながるほか、ブレーキライニングの寿命を延ばしメンテナンスコスト低減の経済的メリットもある。

NRS はエクセディとの共同展示でドライブトレインの新技術をPR
( 写真は製品ラインアップを展示した NRS コーナー )
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■ロータ
■ステータ
■オイル
流体式リターダの作動原理
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