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月刊コマーシャルモーター 2001年7月号掲載


大量一括輸送によって物流の効率化に貢献しているトレーラは、一昨年来の海上コンテナのフル積載、土砂運搬解禁などの規制緩和により2000年度以降久々に需要好転の兆しが見えてきている。一方で中期ブレーキ規制への対応により安全性への対応が強化されている。これら規制緩和や強化、そして国際的な基準の標準化、相互承認などによりトレーラの技術的な進化が脚光を浴びている。エアサス化、シングルタイヤ、リフトアップアクスルなど海外の優れた技術が導入され、これまでの規格化された仕様からニーズに合わせて機能をチョイスする独創的な車づくりが求められるようになってきた。これまでのように重量物や長尺物の輸送ばかりでなく、一般貨物の拠点間輸送の効率化を達成する手段としてトレーラの環境が整ってきた。



EBS&ディスク、エアサス
最先端のトレーラ・アクスルシステム

ダイムラー・クライスラー日本

 ダイムラー・クライスラーは、トラックのアクスルで培ったディスクブレーキやエアサスペンションの技術を生かし、経済性の大幅な向上と安全性、環境適合性を高める画期的な「トレーラ用アクスルシステム」を開発・製品化している。
 ブレーキには停止距離を大幅に短縮するとともに、優れた耐フェード性とドラムブレーキの約2倍の交換サイクルを実現する「ベンチレーテッドディスクブレーキ」を採用。
 エアサスペンションを装備し、優れたショック吸収性により積荷のダメージを和らげてトレーラ車体の負担も低減した。さらに車高調整機能により荷役作業の効率化を図るほか車高を一定に保持しリーフサスペンションに比べて大きな荷台容量を確保する。
 またトレーラフレームに対するアクスルの取り付け角度を90度にできるクイックアライン機能を採用、メンテナンス性の向上と適切なアライメントによる大幅な燃費改善、タイヤ寿命延長を実現する。
 オプション設定のEBS(電子制御ブレーキシステム)は、積荷の量によって変わるブレーキ性能をコンピュータが自動制御。制動距離を短縮するとともに急制動時、トレーラの突き上げによるジャックナイフ現象を抑制するなど安全性の向上に寄与する。
 さらに空荷時や積載量が少ない場合にトレーラの2軸のうち片側をリフトすることにより高速道路の通行料金を低減することができる「アクスル・リフト機能」もオプションにて装着可能。

ディスクブレーキの特徴は熱による影響を受けにくいという点である。図はトレーラの制動距離を比較したものだが、ホットブレーキ(300℃)でもコールドブレーキ(100℃)でもほとんど性能に差がないことがわかる。さらにEBSとの組み合わせで従来型に比べ制動距離を30%短縮する





日野スーパードルフィン
プロフィア 大型トラクタ


 日野自動車の「スーパードルフィン プロフィア 大型トラクタ」は、7タイプのエンジンから構成されている。特にターボインタークーラエンジンは、国内最高出力(412kW/560PS)エンジンの開発により、G.C.W.(連結車両総重量)が従来の61tから65.8tにアップ(SS系・6×4車・NR装置なしの場合)、積載効率の大幅向上を実現した。
 また、イージードライブを実現したセミトラクター用の16段オートマチックトランスミッションPro Shiftを開発、さらにハイルーフキャブを標準採用(一部車型を除く)している。
 また、メインの車種に4つのエアスプリングでリヤアクスルを支持し、振動の吸収に大きな効果をもたらす新開発のトレーリング・エアサスペンションを採用した。振動を巧みに吸収し、キャビンと荷台の振動を大幅に低減。また、ねじり剛性を高めた径の大きいスタビライザーの装着により、ローリングの少ない安定した走行を実現した。
 海上コンテナISO規格フル積載用、汎用、タンクローリ用、車載用と幅広いシリーズを設定したセミトラクタのSH系(4×2)、積載効率の大幅向上を実現した重量物運搬用セミトラクタのSS系(6×4)と、バリエーションも豊富である。

いすゞギガ トラクタ

 いすゞ自動車の「ギガ」の大型トラクタは、昨年6月に行われた改良で平成11年排出ガス規制や中期ブレーキ安全規制などに適合させている。そのポイントは、新開発の8TD1型エンジンを搭載するとともに、6WG1-TC型エンジンに新たな出力帯353kw(480PS)を追加設定した。この、V型8気筒の「8TD1」型は、V型10気筒の「10TD1」型エンジンをベースに新開発され、高出力と低燃費の両立を図っている。これにより、4タイプ(過給系 3タイプ、無過給系 1タイプ)8出力帯の豊富なエンジンラインナップとなり、さまざまな用途にあわせたエンジン選択が可能となった。さらに、運転疲労の軽減に効果のある。セミオートマチックトランスミッション「ECOGIT」を4×2駆動車に新規展開するなどしている。
 いすゞは、早い時期から単車に4バックエアサスペンションを投入してきた。こうしたことから、特にセミトラクタのエアサスペンション化の流れに対応して、4バッグエアサスペンション車に、新たにリモコン付車高調整装置を標準装備し、作業性を向上させた。この改良を機会に、エアサスペンション付トラクタを「ギガマックス トラクタ」とネーミングしている。

三菱ふそうスーパーグレート トラクタ

 三菱自動車の「スーパーグレート トラクタ」は、直6インタークーラーターボからV10無過給まで9種類のエンジンが用意される。
 新開発のMIQCS(ミックス)燃焼など先進技術を投入した平成11年排出ガス規制適合のクリーンエンジンを全車に搭載。オプションで、アイドリングストップシステムやエンジン停止後にも冷房維持に効果の高い蓄冷式リヤクーラー(オプション)している。
 低燃費と操作性を両立したファジー制御機械式オートマチックトランスミッション「INOMAT(イノマット)」や、積荷と乗員に優しいリアエアサスペンション車を設定した。
 安全性でも、中期安全ブレーキ規制に適合すべく、三菱ウェッジブレーキ(ウェッジ式フルエアブレーキ)を全車採用したほか、抜群の夜間視認性を発揮するディスチャージヘッドランプ、広範囲な視界を確保する複合曲面ミラーを採用している。
 こうした基本性能を持つ「スーパーグレート」トラクタシリーズに、昨年9月、約10%(同社比)の運行燃費向上を実現した高速路線向超低燃費セミトラクタが追加された。エンジン常用回転領域のトルク増大、およびエンジン単体での燃費向上、新開発9段INOMAT(機械式AT)の採用、低ギア比(2.733)のファイナルギヤの採用などを施している。

日産ディーゼルビッグサム トラクタ

 日産ディーゼル工業の大型トラック「ビッグサム」トラクタシリーズには、3種類の電子制御機構を標準装備されている。
(1)E-SUS CABIN
 電子制御キャブサスペンションシステム
 トラクタ特有のトレーラーからのピッチングや、路面からの入力によるキャビンの振動をキャビン内に設置した3個のGセンサが素早くキャッチ。センサからの信号により、キャビンを支える4本の新開発(減衰力可変型)ショックアブソーバーをリアルタイムにコントロール、キャビンの振動をしなやかに吸収します。また、走行中のキャブの姿勢をフラットに保とうとする制御により、ドライバーの視線やキャブの上下・前後の振動による首・肩・腰への負担を軽減する。
(2)ESCOT-II
 電子制御トランスミッション
 簡単な変速操作で、クラッチ操作は発進・停止時のみ。運転操作の手間を省き、運転に集中できるのため安全性も大きく向上。ESCOT-IIには、7段と12段が用意される。
(3)EBS 電子制御ブレーキシステム
 レスポンスの向上により、制動距離が短縮される。また、積み荷の量によって変わるブレーキ性能を、コンピュータが自動制御する。

メルセデス・ベンツ アクトロス トラクタ

 「メルセデス・ベンツ アクトロス」のトラクタは、連結総重量40トン時代を見据え、V6・394PS/428PSエンジンが選べる4×2と、よりパワフルなトラクションを発揮するV8・530PSの6×4をラインアップしている。
 エンジンはV型インタークーラー付ターボディーゼル。小排気量ではあるが高いパフォーマンスを発揮。低燃費と有害物質の排出量削減を実現しながら、低回転からゆとりのトルクを発生する。また、テリジェント・エンジン・システムがエンジン作動を常に最適に制御。万一のトラブルにも適切に対処し、より確実でスムーズな運行をサポートする。
 また、16速トランスミッションには、簡単な操作で最適のギアが自動選択されるテリジェント・ギアシフト・システムを搭載。そして、エアスプリングだけで荷重を支える電子制御のテリジェント・フルエアサスペンション・システムをカーゴ系全車のリアと低床車のフロントに採用。様々な状況下で安定した走行姿勢を維持する。しかも車高調整幅が大きく、最大積載時と空車時の車高を一定に保てるほか、荷役作業やトレーラーの脱着作業がより容易に行える。
 また、テリジェント・メンテナンス・システムが、エンジンオイルなど消耗部品類の補充、交換時期を的確に予測。一般的な使用・走行状況であれば、約10万kmに1回という長いメンテナンスサイクルに可能にする。

ボルボFH12/16

 長距離大量輸送に最適なトラクタトラック、ボルボFH12/16は、1994年の発売以来、ヨーロッパの「トラック・オブ・ザ・イヤー」を獲得するなど、各国のユーザーに愛されてきた。人間工学をもとに設計されたキャブは、快適なドライビング環境と高い安全性の両立を実現。アイポイントは長距離・高速運転を想定してFMシリーズや国産トラックよりも高めの位置に設定されており、キャブタイプもスリーパー、グローブトロッターの2種類から用途に応じて選択できる。
 FH16の心臓部、16リットル改良型D16Bエンジンはターボ・インタークーラを搭載する。ボルボ最強の520hpのパワーを誇り、従来の列型噴射ポンプを最新の電子技術によりコントロール。FH12に搭載される12リットル新型D12Cエンジンもターボ・インタークーラを搭載しており、380hp、420hp、460hpの3タイプから業務に最適のエンジンを選べる。優れた運転性と生産性を発揮。いずれも、低燃費と有害排気ガスの大幅な排出量削減も実現している。
 シャーシは高張力鋼製のメインフレームを中心に、高機能コンポーネントから成立している。日本では、FH16は「6×4トラクタ」のみを、FH12のトラクタは4×2および6×4が発売されている。


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