次世代予感させる技術革新
規制緩和で好転する需要環境
トレーラ需要は低水準で推移してきたが、ここにきて技術の進化に伴う次世代モデルが相次いで登場しており、市場活性化の兆しを見せている。荷主、運送事業者とも物流合理化の手段としてトレーラによる大量一括輸送ニーズが根強く、これを背景にトレーラメーカーが付加価値を載せて提案を行っている。こうした新型車の登場があっても、不透明感を脱しきれない景気動向から大きな望みは持てないが、市場底上げの足がかりになるものと期待される。
96 年以降、全体需要が下降
まずトレーラ市場の近年の需要推移を見てみたい。日本自動車車体工業会がまとめた生産統計によると(下表)、平成 12 年度は 5680 台、対前年比 18% 増と好調に推移した。 11 年度は ISO 規格海上コンテナフル積載の実現(新規格車に対する購入補助)により、 1000 台弱の特需が発生したが、 12 年度も続伸している。またダンプトレーラは倍増、これら二つの規制緩和が市場の伸びを支えている。
このように一時は最盛期の 3 分の 1 まで減少したところから転じ、 2 年連続の増加となったわけだが、これにしても 7 年度の半分以下という水準である。 6 年度から 7 年度にかけての突出した山は、過積載取締強化の動きと連動したもので、トレーラによる大量輸送への移行が期待されたが、その後は経済環境を反映して大型トラックと同様の傾向を示している。
次に車体工業会の 12 年度の生産実績を車型別に見てみると、平ボデー= 1206 台(対前年比 115% )、バン型= 1361 台(同 101% )、コンテナ用= 2165 台(同 146% )、タンク= 300 台(同 97% )、ダンプ= 83 台(同 237% )などが主な項目である。バンとコンテナで過半数という構図は変わりないが、バン型に関しては 25 t の単車との競合もある。今年度急伸したダンプは後述するように土砂解禁の追い風があるが、加えて産業廃棄物の運搬(処分場の不足による長距離一括輸送)にも新たな需要の芽が出ている。
| <トレーラの生産推移>(過去 10 年) |
| | 平成 3 年 | 度 | 10,191 台 | | 前年比 102.1 % | |
| 4 年 | 8,424 台 | 82.7 % |
| 5 年 | 5,286 台 | 62.7 % |
| 6 年 | 13,898 台 | 262.9 % |
| 7 年 | 14,085 台 | 101.3 % |
| 8 年 | 8,300 台 | 58.9 % |
| 9 年 | 6,635 台 | 79.9 % |
| 10 年 | 4,755 台 | 71.1 % |
| 11 年 | 4,817 台 | 101.3 % |
| 12 年 | 5,680 台 | 117.9 % |
| 日本自動車車体工業会統計 |
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海コンのフル積載とダンプ土砂解禁
トレーラ需要を底から引き上げた二つの「規制緩和」がある。 11 年 4 月に実施された ISO 規格海上コンテナのフル積載輸送は、国内一貫輸送を実現するために海外からも強い要望があったもの。日本の港湾で陸揚げされたコンテナは国内の法規に適合させるために現トンあるいは一度積み替えて内陸部へ輸送する必要があったが、これが海外との整合性がなく、また効率も悪かった。そこで 20 ft コンテナはそれまでの 2 軸から 3 軸トレーラ化、 40 ft コンテナは 3 軸のトレーラとトラクタを組み合わせることによりフル積載を認めようというものである。
それまでのシャシが使用できる経過措置が設けられたが、結果的に新規格トレーラの需要促進につながっている。
ダンプトレーラの土砂解禁は 11 年 12 月に実現した。 1960 年代に禁止されて以来、長年の業界の悲願が実ったものだが、建設市場の冷え込みが影響して即需要の立ち上がりには結びつかなかった。しかしその後の 2 年間で、 2.7 倍の市場に膨らんでおり、平ボデー、バン、コンテナ、タンクに続く 5 番目の柱として期待されている。
また産業廃棄物の遠距離輸送に対応してフルトレーラ型の脱着ボデーが見直されている。開発されて長い時を経過している割に、市場規模は小さいが、各産業界で適正なリサイクルが求められるようになっていることから、今後は単なる運搬だけでなくリサイクルの静脈をになう物流手段として需要の増加が期待されている。
走行系や制動系に続々と新機軸
実需では大きな動きがないが昨年から今年にかけてトレーラ向けに新たな技術が次々に開発・提案されている。
代表的なものが積載重量に応じて 2 軸車の 1 軸をアップする「車軸自動昇降装置」で、軸数を減らして走行することにより高速道路料金を低減(「特大型車料金」から「大型車料金」に)、合わせてタイヤ寿命の延長、燃費の向上などのメリットがある(後述)。
足回りの進化では、 EBS (電子ブレーキ制御システム)やディスクブレーキ、エアサスペンションの採用などがある。 EBS は積み荷の量によって変わるブレーキ性能をコンピュータが自動制御。制動距離を短縮するとともに急制動時にトレーラの突き上げによる危険なジャックナイフ現象を抑制するなど安全性の向上に貢献するもの。
ディスクは 2003 年本格登場か
欧州で導入が進んでいるディスクブレーキも (1) 安全性=停止距離の短縮、フェードフリー (2) 快適性=ドラムブレーキに比べて制動力アップ (3) メンテナンスが容易などのメリットがある。また中期ブレーキ規制に対応、ドライバーの労力軽減などのほか、 EBS などの電子制御機器とのマッチングに優れており、欧州では 2005 年に EBS 法制化の動きも伝わっており、ディスクとセットで導入に拍車がかかりそうだ。
日本では昨年 7 月の中期ブレーキ規制に対応する車両として一部のトレーラメーカーが装着車をアナウンスしたが、シャシメーカーや他のトレーラメーカーが実車テストを続けており、2003年の新短期排ガス規制に対応する新型車が登場する頃に、本格的な市場導入がスタートするという見方もある。
EBS やディスクブレーキはベンツやボルボなどの欧州車にはすでに採用されており、このほか走行系、制動系、連結装置など欧州で普及している技術が、グローバル協定(部品の世界標準化や相互承認)によって国内で採用されるケースが増えてきている。これまで国内では単車に比べるとトレーラは国内のはその市場規模に合わせて画一化された商品が多かったが、欧州の技術が本格的に導入されるとなると、ニーズに合わせた独創的な車づくりが可能になり、また大量生産されている商材はコストの低減も可能になる。次世代トレーラを模索する中でヨーロッパの動向からは目が離せない。
トレーラは、重量物や大型(長尺物)を輸送する手段として発展してきたが、最近は一般貨物の大量一括輸送向けに、分野ごとに特性に応じた車づくりが求められるようになってきている。今後のトレーラ市場は分野・用途ごとに多様化していくことが、新しい市場の開拓につながるものと思われる。
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