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輸送経済 平成13年9月25日掲載





50万台以上が対象に

 ―スピードリミッター装着義務化の理由は。
 豊田  言うまでもなく高速道路での大型トラックなどによる重大事故を減らすための施策だ。そのために車両・ハードそのものに速度抑制装置の取り付けを義務付け、スピード違反をなくすのが狙い。
 ―法律的には現在どこまで決まっているのか。
 豊田  9月に改正公布された「道路運送車両の安全基準」によれば、総重量8t以上または最大積載量5t以上のトラックが対象となる。緊急的な危険回避に必要な余裕速度も考え、高速道路の制限速度を10キロ上回る時速90キロを上限とした速度抑制装置の装着を義務付けている。
 ―施行の時期は。
 豊田  新車の場合は平成15年9月から販売される新車に適用する。使用過程車は平成6年の排ガス規制適合車以降の車両を対象に同17年8月までの装着が義務付けられた。
 ―それ以前の古い型式の車両は免除ということか。
 豊田  その通り。平成6年以前に登録された使用過程車は適用対象外となる。国土交通省では「古い型式の車両ではエンジンの機種数が多く、かつリミッターの装着自体が高度で複雑な作業となる」(自動車交通局技術安全部技術企画課)と判断し、安全性の意味から対象車を平成6年以降の車両としている。
 ―義務付けに対し、いまだに異論が出ているようだが。

首都圏〜地方で2時間遅延
過程車は装着コスト20万円
◆なお異論くすぶる

 豊田  確かに、最近では「高速道路を走らない車両にまで装着させる必要があるのか」という意見も出てきている。
 ―高速を走らないというと、どういった車が考えられるのか。
 豊田  例えば離島にある事業所の大型車両は、フェリーを使って本土に上陸してこない限り高速道路は使わない。高速のないほかの地域の車両も同様だ。抑制の必要がない。国土交通省ではこうした意見に当初「確かに離島部の車両ぐらいは何とかできないか」と検討していた。ただ不公平が生じてしまうことから特別な対応をするのは難しいとの見方もある。
 ―パブリックコメントにも速度抑制に対する意見は多数寄せられていたが。
 豊田  高速道での速度規制を現行の時速80キロから、せめて時速90キロに引き上げてほしいとの声は以前からあった。リミッターで言えば時速100キロまで出せるようにということだ。ほかにも「装着車と非装着車との混在は危険」「輸送時間が長くなる分ドライバーの休息時間を確実に取れるようにしてほしい」などがあった。
 ―速度が抑制されることで、これまでより輸送時間が遅延することになる。
 豊田  荷主の理解を得ることが大事だ。出荷時間を早めてもらうとか、到着時間の変更など対応してもらう必要がある。遠距離輸送する場合は特に、これまでより時間がかかる。
 ―特積みの幹線や宅配の翌日配達サービスなどに影響が出る。
 
◆翌日配達にも影響

 豊田  鮮度の管理が難しい魚介類の輸送をはじめ、市場の時間が決まっている農作物は地方〜首都圏の場合、これまでより2時間早く出荷しないと間に合わないという。宅配で言えば、翌日配達できる範囲が狭まることも考えられる。
 ―法律の運用面でも課題があるようだが。
 豊田  「装着車と、そうでない車をどのように見分けるのか」「速度要請装置を装着したとしても、規制・取り締まりの段階で、どのように機能チェックするのか」などの意見がある。
 ―対応策は。
 豊田  荷主への要請は、国土交通省から通達を出してもらうことが決まっている。輸送秩序や労務管理面の課題は、これまで通り安全第一で、事業者・協会・適正化実施機関・行政が一体になって取り組む必要がある。詳細については現在、同省が省令を策定しているので、これを待つしかない。事業者から「未装着車のほうが荷物を速く届けることができてしまい不公平な措置だ」といった声もあった。少なくとも不公平のない取り締まりを望む。
 ―事業者の負担は、どれくらいか。
 豊田  今後開発される新車にはメーカーがライン生産の中に組み入れ装着する。この場合は5万円程度で済むという。メーカーが安いものを作ってくれるのを期待したいところだ。
 ―使用過程車の場合は。
 
◆販社の支援が必要

 豊田  装着費用を込めて20万円前後とされる。ただ供給体制は、まだ整っていない。装着に当たっては、一般の整備工場では簡単に装着できないため、販売ディーラーのフォロー体制が必要になる。
 ―なぜ一般の整備工場では難しいのか。
 豊田  抑制装置は燃料機関、スピード計に手を加える必要がある。機械式の場合はガバナーによって一定速度を超えると燃料吸入をカットするという仕組み。一方、電器式の場合は各機関を電子的に制御し速度をコントロールする。いずれの場合も相当な施設と技術が必要となるためだ。
 ―普通乗用車のスピードリミッターはユーザーなどが改造しているというが。
 豊田  機械式は仕組みが簡易な分、改造の危険性が高いともされている。不正改造対策として、先の安全基準では速度抑制装置を取り外した場合は3月以下の懲役か5万円以下の罰金が科されることになっている。
 ―国や自治体、全ト協で環境対策のように助成制度を設けることはないのか。
 豊田  装着費を含めた20万円のうち、例えば半額の10万円を全ト協と県ト協とが補助するとしても、全ト協だけで1台につき5万円必要となる。事業者保有車両(青ナンバー)のうち対象となるのは約50万〜60万台と試算されており、およそ250億円を超える額になる。これだけの資金を用意することは難しい。
 ―今後の事業者の課題は。
 豊田  これ以上、安全に関する規制が厳しくならないように安全管理に努力すべきだ。私たち事業者とドライバーは、あくまで無事故を期したい。

“不公平”生じぬ取り締まり望む

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