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月刊コマーシャルモーター 2002年10月号 掲載



 第 3 のブレーキ、 あるいは第 4 のブレーキに位置づけられるリターダに画期的な製品が登場した――流体式リターダで世界的に有名な独フォイト社は、 水を使ってエンジン回転を直接制動するアクアターダ(水ポンプリターダ)を開発、 日本法人のニッポンリターダシステム(エクセディとの合弁会社)をつうじて大型車メーカーのプレゼンテーションに乗り出している。 これはフォイトが 7 年の歳月をかけて次世代型リターダとして開発したもので、 補助ブレーキシステムの抜本的見直しを誘導するものとして注目を集めている。

ネックの重量と搭載性を大幅向上


次世代型リターダとして注目される
アクアターダ
 走行安全は、 確実に止まるブレーキシステムと表裏一体の関係にあり、 特に大型単車やトレーラなど重量車は補助ブレーキが不可欠な減速手段として位置づけられている。
 補助ブレーキには、 排気の圧力を利用する排気ブレーキやエンジン機構を生かしたコンプレッションブレーキ、 リターダに大別されるが、 近年は排ガス&小燃費対策を背景にターボ&小排気量化やファイナルギアを小さくする方向へ進んでいることもあって、 補助ブレーキの負担が増大、 制動トルクの発生で群を抜くリターダが見直されている。
 リターダといっても、 流体抵抗を利用する流体式と磁力の反発を生かした電磁式に分かれており、 流体式は大きな制動力を発生するが装置が重く、 電磁式は軽量だが発生する制動力に限界があるなど一長一短がある。
 フォイト社は流体式リターダの先駆的メーカーであり、 フォイトといえば、 流体式リターダの代名詞的な存在。 日本市場では、 ニッポンリターダシステムを通じて販売、 大きな制動トルクが必要な建機車両やトラクタなどに採用されているが、 流体式リターダは重いことに加えて、 水冷(ラジエータ接続)で配管の取り回しなど面倒な作業が求められるため、 搭載性の難点が指摘されている。
 流体式のネックだった技術的課題をブレークスルーする次世代型として 7 年の歳月をかけて開発、 満を持して発表したのがアクアターダ(水ポンプリターダ)である。 今年 8 月に欧州で発表して以来、 シャシメーカーの技術者の間で大きな反響を呼んでいる。

エンジン回転を直接ブレ―キング

 アクアターダはポンプの原理を使って制動トルクを引き出す新発想のリターダである。
 従来のリターダはトランスミッション後方に装着、 プロペラシャフトを制動する。 構造は、 トルコン式オートマチックトランスミッションのトルクコンバータと似ており、 プロペラシャフトといっしょに回転するロータとハウジングに固定されているステータという羽根を相対する形で設けられている。 リターダを ON にすると、 ロータとステータの間に作動油が入ってロータの遠心力で加速された油はステータに送り込まれて減速、 再びロータに戻る。 これを繰り返して運動エネルギーを消費、 ロータ連結のプロペラシャフト(車両)にブレーキがかかる仕組みである。
 これに対して新開発のアクアターダは、 ウォーターポンプ機能とリターダ機能を併せもっており、 ラジエータとエンジンの間に取り付けてクランクシャフトを直接制動する。 制動で発生する熱はラジエータで放熱、 冷却水配管が不要となる。 水を使うことでオイルクーラも必要なくなり、 廃油も発生しない。 流体式のネックだった重量についても、 コンポーネントが少ないため、 ユニット重量は 32kg と軽い。 コストの大幅低減も実現する。
 発生する制動トルクは、 ラジエータ容量やエンジンの回転速度などによって決定されるが、 CAN システムによってブレーキ系を統合すれば、 最適制動を実現するとしている。
 一方、 ニッポンリターダシステムは、 すでに大型メーカーに対してプレゼンテーションを進めているが、 エンジン一体型で取り組みはエンジン開発と並行するため、 採用されるまでには時間がかかるものと見ているが、 「低コストで廃油の出ない環境にやさしいリターダ」として積極的に働きかけていく方針だ。


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