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月間コマーシャルモーター 1998 年 7 月号掲載



 トレーラ市場はISO規格海上コンテナフル積載輸送の実現、あるいはダンプトレーラ土砂解禁に向けて動き出し始めるなど好転の兆しが見え始めている。しかし、現実をみると、新規格海上コンテナトレーラは諸々の条件が重なり合って本格的な需要に結びついていない。新規需要創出として期待されるダンプトレーラ土砂解禁についても、結論が出ていないため、メーカー各社とも販売戦略を打ち出しにくい状況が続いている。これら期待される潜在需要はいつ顕在化するのか―海上コンテナとダンプトレーラを軸にトレンドに入ったトレーラ市場の現況を概括的に探ってみたい。


40ftコンテナシャシは新規格車対応

 日本自動車車体工業会統計から97年度トレーラ生産実績(下表)をみると、全体でも6700台でピーク時の95年度実績(1万4000台)と比べ半減している。そのうち、コンテナ用トレーラは1043台で95年度生産水準の2割、産業廃棄物運搬分野で需要が出始めている注目のダンプトレーラにしても、86台で2年前の半分以下の水準である。
 需要の落ち込み理由は、ABS義務づけによる需要一巡の反動と片づけることもできるが、やはり根底にあるのは景気低迷で荷動きが悪くなったことに尽きる。もっとも、97年度実績を個別的にみると、コンテナトレーラの場合、ISO規格フル積載の実現を前に買い控えたことが大きく影響しており、昨秋以降、緩和車両が認められなくなったことも全体の生産減に影を落としている。今年度の生産見通しについても、景気の先行き不透明でトラック&特装車の総需要抑制が深刻な状況が続いており、トレーラ市場も環境は同じで全体として低水準の域を出ないと見られる。
 そういう中にあって、今年度以降トレーラ市場をけん引するものと期待されるのが動き出し始めたISO規格対応の新規格海上コンテナトレーラと土砂解禁の期待高まるダンプトレーラである。
 まず、始めに動き出したばかりの新規海上コンテナトレーラの動きから追ってみたい。
 今年4月1日から、ISO規格海上コンテナのフル積載輸送の経過措置としてISO規格海コン用トラクタ&トレーラの軸重超過(軸重の基準緩和=最大11.5t以下)が認められ、港湾荷揚げから積み換えせずに内陸部へのISO海上コンテナの一貫輸送(20ft=24t/40ft=30.48t)が実現した。このフル積載に対応する基準適合の条件は、20ftコンテナシャシの場合、現行の2軸車のままで対応(将来は3軸車)できるが、軸重アップやフレームおよび足回りの補強改造が必要になる。40ftコンテナシャシは3軸車が前提で基準適合の新規格海コントレーラに買い替えなければならない。特に40ftコンテナトレーラの場合、基準内輸送を前提(基準緩和はトラクタ側)とした軸レイアウト&軸重となっており、今後の買い替え需要は新規格車に置き換わっていく公算が強い。つまり、フル積載の進展を強めにみれば、新規格車移行の初期段階では特需的な需要発生が見込めるだろうとの計算が成り立つわけである。



<40ftは保有の3割が代替需要見込まれる>

 現在海上コンテナトレーラの保有台数は、20ftおよび40ftそれぞれ1万5000台で合計で3万台(コンテナ個数1,000万個/TEU換算/96年ベース)と推計されている。4月以前の段階で40ftコンテナトレーラ保有台数の3割程度が新規格車に置き換わると予測されていたが、6月までの結果をみると、需要盛り上がりはまったく見られず、メーカー各社とも拍子抜けといった感じが否めない。
 この背景には海コントレーラに対する公的資金導入が挙げられる。というのは、5月に登録(販売)が出始めた矢先、景気浮揚対策および新規格海コントレーラの導入促進策として総額4億円の補助金交付が立案(運輸省。全日本トラック協会も要望)されたため、ユーザーは一挙に買い控えてしまった。このほか、地方港の整備で港湾間内陸輸送の横持ちが少なくなり、海コントレーラが全体的に減車傾向にあることも、新規格トレーラの代替伸び悩みの背景にあるとの指摘もある。

<注目される補助金交付制度の具体的実施>

 新規格海コントレーラに対する補助制度(40ftコンテナトレーラが対象)は、今国会で補助予算4億円が決定、運輸省貨物課が遅くとも今夏までを目処に補助金交付要領づくりを行っている。
 具体的に補助金の交付手続きが正式に決ったわけではないが、交付事務の受け皿となるとみられる全日本トラック協会が5月12日にトレーラメーカー4社(東急車輌製造、日本トレクス、日本フルハーフ、輸送機工業)を招いて補助制度の流れおよび取り組みの説明を行っている。
 関係者の話によると、(1)リース料に対する補助(2)トレーラ購入先は1社に絞り込む(3)入札で行い予定価格に達しない場合はトレーラ輸入も想定する―というもの。この内容について運輸省は特に否定せず、補助金交付要領の策定もこうした線で検討していることをうかがわせる。
 もっとも、具体的実施に際しては購入価格の5分の1補助で補助対象台数が約600台。これを全国1000社を上回る海上コンテナ輸送事業者にどのように割り振るのか、あるいは公平性の確保をどう図るのかなど難しい問題を内包している。補助金交付要領の内容が注目されるところである。
 トレーラメーカーにとっても、1社に絞り込まれるというのは複雑なようだ。入札に成功しなければゼロ、落札すれば一度に数百台という製品づくりに見合う設備投資が必要となり、一過性で終わった場合のリスクを背負う。生産の平準化を図りたいメーカーからすれば、必ずしも受注メリットばかりではないということでもある。現実対応としてメーカー相互の協力を前提にした業界対応を想定できなくもないが、その辺は成り行きを見守るというほかない。
 今後の海コントレーラの需要見通しという点については、トレーラメーカー各社とも今秋以降の需要立ち上がりを想定、公的補助がもたらす需要の押し上げ効果に期待しているが、公的補助のあり方の行方が分からず、今後の需要動向のシナリオ想定に苦慮しているというのが現実である。

最大限に積載したISO規格国際海上コンテナの輸送車両


関係省庁の判断を待つのみの状況

 トレーラ市場を牽引するもうひとつの期待の製品はダンプトレーラだが、土砂解禁という法律に絡む問題を期待の根幹にしており、簡単に論を進めるわけにはいかない。現在の状況を理解するため、まずこれまでの経過を振り返ってみたい。
 ダンプトレーラによる土砂運搬が禁止となったのは、1960年代、土砂ダンプトラックによる事故多発を背景に成立したダンプ規制法など一連の流れを受けて、新型自動車の審査基準の雑則に「もっぱら土砂等を運搬するダンプ型車は被けん引自動車ではないこと」の項目が加えられた(72年)ことからである。以来、この1項目の規定によって4分の1世紀以上にわたってダンプトレーラの土砂運搬(登録)が禁止されてきたわけである。
 この間、ダンプトレーラの土砂解禁を求める声がなくもなかったが、正式に業界要望として土砂解禁を求めたのは通産省経由で総理府に要望書を提出(95年度規制緩和業界要望の取りまとめ)したのが最初である。このときの要望に対する政府回答は「関係省庁と慎重に検討を行う」というもので事実上門前払いに近い内容だった。
 しかし、業界内部には車両総重量規制緩和(93年)で上限が20tから25tに引き上げられたが、ホイールベースが短いダンプトラックは上限引き上げの恩恵を受けていないこともあって、規制緩和対応の一環としてダンプトレーラ土砂解禁を求める声が強くなり、これを受けて車体工業会内部に専門委員会が発足、組織的に規制緩和に向けて取り組むことになった。96年4月のことである。
 以来、車体工業会&委員会を窓口として運輸省および建設省と交渉を重ね、過積載対策(リリーフバルブ装着)や飛散防止対策(シート掛け等)をまとめ上げてきた。交渉の過程でトレーラ事故の多発(96年夏)で土砂解禁ムードを冷やす結果になったり、ISO規格海上コンテナ対応による一時棚上げになるなど紆余曲折を経てきたが、土砂解禁の許可条件として過積載および飛散防止対策の義務づけを運輸省、建設省、車体工業会の3者協議で確認するなど土砂解禁に向けて交渉を地道に詰めてきたといえる。
 現在大ざっぱに言って土砂解禁に向けた積み残しの課題は建設省サイドが強く求めている「ユーザーに対する車両制限令など法令認識の浸透」だが、これについては車体工業会側がパンフレットを作成してユーザー告知を行う計画を明らかにしており、土砂解禁問題は事実上運輸省および建設省の判断待ちという段階にある。それも最終的な検討段階に入っており、それほど遠くない時期に土砂解禁に踏み切るとの公算が強まっている。
 土砂ダンプトラック(単車)が公共事業の減少で冷え込んだ状況が続いており、ダンプトレーラ土砂解禁による需要創出を疑問視する向きがあるのも事実。しかし、最近の土砂運搬運賃交渉は車検証記載の最大積載量がベースとなっているともいわれており、ユーザーの積載確保ニーズは強いものがある。広い視野でみれば、法定積載で少しでも多く積んで運搬するというのは道路交通の緩和につながり、交通渋滞の緩和という社会的要請に応えることでもある。ダンプトレーラの土砂解禁はマクロ経済を前提に考えるべきだろう。

<タンク&バルクトレーラも大型化の期待>

 今日的な環境変化に伴って需要活性化が期待されるトレーラ製品としてはこのほか、ガソリンスタンドの夜間配送対応として28kl石油タンクトレーラの開発が話題に上がっており、バラセメント分野でも単位当たり輸送コストの低減を目指したバルクトレーラ化も徐々に動き出している。
 もっとも、これらは製品分野は2律相反の様相を併せもっている。というのは、揮発油およびセメント業界ともに業界再編の動きが活発化しており、統合による輸送の効率化や大型車化で減車化の様相が強まっている。特装車メーカーにとって大型トレーラ化や単車からトレーラへのシフトは結果的に過当競争の激化を招き、メーカー間の体力勝負を余儀なくされると危惧する声もあるほど。価格競争ではなく技術競争が望まれる。

<海コン3軸化でワイドシングル需要創出>

 一方、技術的な絡みでいえば、海コントレーラが3軸化(40ft)になったことでワイドシングルタイヤの採用が強まっている。これは単にタイヤ装着本数を減らすというだけでなく、トレーラシャシのフレーム組幅の拡大で走行安定性の向上につながるものであり、そこから派生する対応は今後の技術開発に好影響をもたらすと期待される。
 ちなみに、ワイドシングルタイヤに対するユーザーの反応は、バースト時の不安や既存ダブルタイヤとの互換性の面で導入するケースは限定されているといわれるが、国産タイヤメーカーも輸出製品の国内投入に踏み切っており、アフターメンテナンスが整ってくれば、欧州と同じようにワイドシングルタイヤが普及する可能性は高い。
 3軸車に絡むもうひとつの技術的傾向として注目されるのがステアアクスルの導入である。
 現在ステアアクスルは輸入トレーラや特殊なトレーラしか使われていないが、3軸車の場合、横方向への滑りが大きくタイヤの摩耗が激しくなることから、ランニングコスト低減を目的にステアアクスル採用が考えられるところであり、アクスルメーカーもその辺を視野に入れ始めている。
 車両総重量25t車のフリー走行が可能な高速道路&指定道路は全国で3万2500kmとなり、高規格道路ネットワークが形成されたことに伴って6月1日から特殊車両通行許可の限度重量が引き上げられた。この結果、トレーラによる実質輸送量は4t増加、トレーラ輸送は条件的にさらに有利になり、トレーラ市場の環境好転に拍車をかけている。また、ISO規格海コントレーラに絡む経過措置として実施された軸重の基準緩和(最大11.5t以下)は将来定着するとの見方が出始めているほか、全高規制も現行3.8mから4.2mへの拡大が検討されているなど、トレーラを許容する時代環境は着実に好転しつつある。

ステア機能付トレーラアクスル(各和精機製)


ダンプセミトレーラ土砂解禁要望に伴う車体工業会および行政の動き
年 月
車体工業会の動き 運輸省・建設省の動き
1993年11月

◆車両総重量規制緩和(GVW20tから25tへ上限引上げ)を公布・施行
95年 8月

◆関東運輸局整備部車両課長名で「土砂を運輸するためのコンテナ(ハーフカットコンテナ)を搭載する構造を有するコンテナセミトレーラの取扱いについて」の義務連絡を通達(表示番号/自重計装着の義務づけ)
9月
◆規制緩和要望事項としてダンプトレーラ被けん引車取扱容認(ダンプセミトレーラ土砂解禁)を通産省経由で総理府に提出(95年度規制緩和業界要望の取りまとめ)

◆回答(96年1月)=過積載を助長するおそれがないかどうか関係省庁と慎重に検討を行う
96年 3月

◆建設省道路局道路交通管理課長の通達
「バン型等の連結車に係る特殊車両の通行許可の取扱について」であおり型ボデー(ダンプ型)は認められたが土砂運搬は除外された
4月
◆車体工業会特殊部会ダンプ分科会およびトレーラ部会の連結会開催。分科会間の連携を強化を確認、「ダンプトレーラ委員会」を発足させて早期緩和に取り組むことになった

5月
◆運輸省自動車交通局第1回目のミーティングを開催(テーマ=土砂用ダンプトレーラの緩和について)
7月

◆第2回目のミーティング
車体工業会提案:過積載防止装置取り付け対応で緩和検討を要望
8月

◆第3回目のミーティング
過積載防止装置の機能説明および取扱(自主基準または取り付け条件)の検討提案
建設省と警察庁に意見照会するとの回答
9月
◆ダンプトレーラ委員会開催(12日)
過積載防止装置取付の取扱(自主基準あるいは条件)を協議。運輸省の意向を「もう一度確認」するにとどまる
◆ダンプトレーラ委員会開催(19日)
無条件緩和の感触を得たと判断。9月末から10月初旬まで(行政側の)推移を見守るということで全員が了解

〜〜〜〜〜〜〜〜 9月に東名自動車道路などでトレーラ事故が多発 〜〜〜〜〜〜〜〜
97年 6月

◆建設省道路局道路交通管理課と打ち合わせ
運輸省側の意見照会について「飛散防止装置」と「過積載防止装置」の取り付けを義務づけとしたいとの意向を受ける
97年 8月

◆運輸省と建設省、車体工業会3者協議で許可条件として「飛散防止」(シート掛け等)および「過積載防止」(リリーフバルブ装着)対策の義務づけ化を確認
97年下半期

◆ISO規格海上コンテナ・フルロード運行の最終検討に入る(事実上ダンプトレーラ土砂解禁問題は一時棚上げとなる)
98年 4月

◆ISO規格フルロード運行開始(1日)
◆運輸省と車体工業会がダンプトレーラ土砂許可の打ち合わせを再開。高規格道路供用開始(6月1日)に合わせて土砂解禁を要望=(4月15日)
98年 6月

◆車体工業会担当者が建設省道路交通管理課を訪問(8日)(4月に担当者が異動。新任担当者の依頼を受けこれまでの経過説明を行うのが目的)


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